松阪牛とは|松阪牛と特産松阪牛の定義と美味しい食べ方

松阪牛

松阪牛は、三大和牛にもよく登場する人気の高い和牛銘柄です。ここでは、松阪牛の定義と歴史、松阪牛と神戸牛との関係、松阪牛の美味しさの秘密、そして特産松阪牛についてなど、じっくりご紹介します。松阪牛について詳しく知りたい方のお役に立てれば幸いです。

 

松阪牛の歴史

松阪牛のはじまり

松阪地方では、昔から、但馬(たじま・兵庫県)生まれで、紀州(和歌山県)育ちの大人しくてよく働く若い雌牛が、「新牛(あらうし)」と呼ばれて農耕に重宝されてきました。牛は農耕用として3、4年使われた後、「野上がり牛」として1年間肥育されました。そして「太牛(ふとうし)」と呼ばれる立派な牛に育てられ、「松阪牛」として出荷されるようになりました。これが松阪牛のはじまりです。

 

松阪牛と神戸牛

但馬地方で昔から飼われてきた「但馬牛」は、日本原種の黒毛和牛です。この但馬牛は、全国の和牛品種改良の「もと牛」として使われるほど優秀な牛です。また、純血種の兵庫県産但馬牛は神戸牛の素牛であり、基準を満たす但馬牛は「神戸牛・神戸ビーフ」となります。現在の「松阪牛」は日本全国から優秀な子牛を仕入れ、三重県松阪市をはじめとする特定の地域で育てたものですが、その中でも「特産松阪牛」は、但馬地方をはじめとする兵庫県産の子牛のみを肥育したものです。ですので、「特産松阪牛」と「神戸牛」は、但馬という地域を通じてつながりがあるということになりますね。

 

すき焼きと牛追道中

日本が外国に港を開き、外国の食文化が入ってくると、日本人の間にも牛肉を食べる習慣が浸透していきました。明治初期には「牛鍋」が流行し、文明開化のシンボルとされました。この牛鍋、最初はぶつ切りの牛肉をネギと一緒に鉄鍋で焼いて、みそ仕立てにしたものでした。
この牛鍋文化と相まって松阪牛の名を広めたのは、まだ鉄道などの交通手段のなかった時代に、松阪近辺から松阪牛を集め、徒歩で東京へ向かった「牛追い道中」の大行進がきっかけでした。「牛追い道中」は1872年(明治5年)から始まり、明治30年代まで続きました。松阪牛は、その後も東京方面へ出荷され、鹿鳴館や高級料理店などでも食材として利用されてきました。

 

松阪牛の最高落札価格は?

毎年11月に「松阪肉牛共進会」と呼ばれる松阪牛のコンテストが開かれています。
1949年(昭和24年)から開催されているこの会では、予選を勝ち抜いた50頭の松阪牛だけが本選会に進み、一般観客の見守る中審査を受けます。そして、審査が終わるとセリ市が行われ、優秀賞1席に輝いた松阪牛の落札価格が毎年話題になっています。
過去最高の値をつけたの松阪牛は、2002年(平成14年)に優秀賞1席を受賞した「よしとよ」号で、落札価格はなんと5,000万円にも上りました。

 

松阪牛の定義

松阪牛の読み方

「松阪牛」の正しい読み方をご存知ですか?「松阪牛」は「まつさかうし」または「まつさかぎゅう」が正しい読み方です。「まつざか」と「ざ」が入るのは間違いなんですよ。漢字も「松坂」と「坂」を使うのは間違いで、正しくは「阪」を使い「松阪牛」と書きます。

 

松阪牛の定義

現在の松阪牛の定義は
・黒毛和種
・未経産の雌牛
・松阪牛個体識別管理システムに登録されていること
・三重県松阪市や津市などを含む特定の松阪牛生産区域(旧22市町村)での肥育期間が最長・最終であること
※生後12ヶ月齢までに松阪牛生産区域に導入され、導入後の移動は生産区域内に限る。
以上の条件をすべて満たしている牛が「松阪牛」と呼ばれます。
一般に「松阪牛」というときは、兵庫県や宮崎県、鹿児島県などの全国各地の牛市場から、生後12ヶ月までの黒毛和種の雌の子牛が選ばれ、松阪牛生産区域で育てられて「松阪牛」となります。
どうして雌牛なのかというと、雌牛の方が雄牛よりも肉質が柔らかいからと言われています。さらに、母牛として母乳を与えると脂肪の燃焼や養分の流失で肉質が低下するので、未経産の雌牛ということになっているようです。

 

松阪牛個体識別番号・松阪牛証明書・松阪牛シール

松阪牛は、全国各地の優秀な子牛を松阪牛生産地域に導入後、松阪牛個体識別番号システムに登録されます。
この番号は松阪牛証明書や松阪牛シールに表示されています。この番号を利用して、牛のルーツを確認することができます。
松阪牛シールは、店頭で販売されている肉のパックに貼ってあります。赤字で「松阪牛」と書かれ、10桁の個体識別番号のほか、牛が育った場所や育てた農家の名前、特産・A5・A4などの品質規格が記載されています。

 

松阪牛の格付け

松阪牛の品質規格には「特産」と「歩留等級(A~C)-肉質等級(1~5)」の2種類があります。
まず「特産」は、兵庫県産の素牛を、松阪牛肥育農家が特定の地域で900日以上肥育したものだけが「特産」と表示されます。
「歩留等級」は、ロース芯の面積、ばらの厚さ、皮下脂肪の厚さ及び半丸枝肉重量の4項目の数値を計算し決定したもので、A、B、Cの3等級があります。
「肉質等級」は、脂肪交雑(霜降りの度合い・B.M.S.)・肉の色(肉色と光沢)・肉の締まり及びきめ・脂肪の色沢と質の4項目があります。それぞれ5を最上級とする1~5段階で評価され、4つの評価のうちで一番低いものが肉質等級になります。たとえば、5が3つ4が1つなら肉質等級は4になります。
「等級」は歩留等級と肉質等級を連記したもので、最高等級はA5です。
ですので、松阪牛の中で一番高い格付けは「特産松阪牛」の「A5」ということになります。

 

松阪牛の美味しさの秘密

松阪牛が美味しい理由には「和牛香」「不飽和脂肪酸」「脂肪融点」が関係しています。

和牛香

和牛香とは、和牛の肉に熱を加えた時に出る香りです。松阪牛は甘さと深みのある上品な和牛香が特徴です。
この和牛香は、薄い食塩水に和牛肉を入れて80℃で2分間加熱すると最も強く感じられ、さらに温度を上げるとかえって弱まるという研究結果が報告されています。ですので、すき焼きやしゃぶしゃぶは松阪牛の美味しさを引き立たせる食べ方と言えますね。

不飽和脂肪酸

松阪牛は、一般的な和牛肉よりも悪玉コレステロールの抑制効果があり良質な脂肪といわれる不飽和脂肪酸を豊富に含んでいます。
脂肪融点
松阪牛に豊富に含まれる不飽和脂肪酸は脂肪融点が低いのが特徴です。脂肪融点が低いと、低い温度で脂肪が溶けはじめるので、松阪牛を口に入れたときにとろけるような食感が楽しめます。なお、肥育期間が長いほど、不飽和脂肪酸の含有率が高くなり、脂肪融点が低くなるという研究結果があり、長期肥育される「特産松阪牛」はその傾向が強くなります。

 

特産松阪牛とは

特産松阪牛の定義

「特産松阪牛」は、松阪牛の中でも、兵庫県産の子牛を松阪牛生産区域内で900日以上(月齢平均42か月以上)肥育した牛のことです。
特産松阪牛は「生きたまま熟成」「究極のエイジングビーフ」「肉の芸術品」などと表現されることもあります。

 

特産松阪牛の出荷数は?

特産松阪牛は、松阪牛全体のほんの数パーセントしか生産されていません。2017年度では年間約7400頭の松阪牛が出荷されたのに対し、特産松阪牛はたった約370頭でした。

 

特産松阪牛の生産・育て方

特産松阪牛は「特産松阪牛推進農家」と呼ばれる認定された農家が、高度な肥育技術で育てています。ときに『牛飼いの匠』と呼ばれる肥育農家は、牛の状態や体調に合わせた管理を行っています。
松阪牛はビールを飲むの?
松阪牛は、出荷する6ヶ月~8ヶ月前ごろの肥育末期になると、牛の食欲が落ちることがあります。この「食い止まり」を防止して、牛の食欲を増進させるためにビールを飲ませる農家もいます。ただし、すべての松阪牛がビールを飲むわけではありません。それに、飲ませているケースでも、毎日ではなく食欲が落ちたときだけ飲ませています。また、牛をリラックスさせたり毛並みをよくするためにブラッシングやマッサージを行ったり、散歩をさせる農家もいます。

 

特産松阪牛の特徴

・肉眼で見えないほどのきめの細かいサシ(霜降り)
・まろやかな脂の旨み
・常温で脂が溶け出すほど脂肪融点が低く、とろけるような口どけ
・箸で軽く切れてしまうほどの柔らかな肉質
・甘く深みのある上品な香り(和牛香)
・旨みの凝縮された赤身

 

特産松阪牛と松阪牛の違い・まとめ

子牛

特産でない松阪牛は宮崎県産や鹿児島県産など、日本各地の子牛を育てますが、特産松阪牛は兵庫県産の子牛のみ。

肥育期間

特産でない松阪牛の肥育期間は平均32ヶ月ですが、特産松阪牛は平均42ヶ月と約10か月長いです。なお、肥育期間が長いほど、不飽和脂肪酸の含有率が高くなり、脂肪融点が低くなるという研究結果があり、長期肥育される「特産松阪牛」はその傾向が強くなります。

 

松阪牛の食べ方おすすめ

松阪牛の美味しい食べ方やアレンジをご紹介します。

 

松阪牛すき焼き・しゃぶしゃぶ

松阪牛の食べ方でまずおすすめなのは、「すき焼き」と「しゃぶしゃぶ」です。松阪牛の特徴のひとつの甘やかな「和牛香」を存分に楽しめる食べ方です。

 

松阪牛ステーキ

松阪牛のとろける口当たりをステーキで楽しむなら、サーロイン、ヒレ、リブロースの部位がおすすめです。

 

松阪牛シャトーブリアン

シャトーブリアンは、牛1頭からとれるヒレ肉およそ4kgから、たった600g程しか取れないとても希少な部位です。そんな高級な部位を松阪牛で味わうのは至福のひとときなのではないでしょうか。

 

松阪牛しぐれ煮

松阪牛のしぐれ煮は、そのまま味わうのはもちろん、ご飯にのせたり、ゴマを足しておにぎりの具にしたり、卵焼きに巻き込むのもいいですね。また、洋風アレンジのおすすめはピザのトッピングです。焼いたピザ台の上に松阪牛のしぐれ煮をのせ、その上からルッコラをたくさんのせてパルメジャーノ・レッジャーノを削ると、白ワインにぴったりのピザになりますよ。

 

松阪牛さいころステーキ

加工肉ではない松阪牛のさいころステーキは、焼き目のうまみと口の中で溶け出す肉汁のバランスが楽しめます。

 

松阪牛のギフト・お取り寄せ

松阪牛を通販でお取り寄せ

松阪牛を食べたい!と思っても近所のスーパーでは取り扱っていないということも多いですね。そんなときは、通販で松阪牛をお取り寄せしてみてはいかがでしょうか。店舗に出向かずに自宅に松阪牛が届くので無駄に出歩かなくてすむし、なんといっても外食するよりコスパがいいのが大きな魅力。それに、自宅なら自分の好きなときにリラックスして食べることができますね。

 

松阪牛ギフトのおすすめ

松阪牛ギフトのイチオシは、松阪牛の美味しい食べ方でもご紹介した「松阪牛のすき焼き」と「松阪牛のしゃぶしゃぶ」です。松阪牛の甘やかな「和牛香」を贈られる方に楽しんでいただけますし、ステーキなどのガッツリ系のお肉を敬遠しがちなご年配の方にも喜ばれます。
お肉が好きな若い方への贈り物には松阪牛のステーキが人気です。

 

松阪牛ギフトを贈るときに注意すること

ギフトとして松阪牛を贈るときには、贈る相手に失礼のないように品質の確かな松阪牛を選びたいところです。味・質ともに間違いがないのは「特産松阪牛」ですが、「特産松阪牛」は生産量が少ないので、在庫はあるのか、お届け日指定はできるかなどもチェックポイントですね。

 

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